2024.07.01
特集「京都の障害者支援の現場!」vol.1 /はあと・フレンズ・ストア
目次
障害のある方を支援する形態は多種多様でたくさんあり、一般の方にはとてもわかりにくくなっています。
この特集では、障害のある方やその関係者の方に少しでも支援を受ける第一歩を踏み出しやすくなっていただけるよう、京都で障害者支援をしているさまざまな機関や取組みを紹介していきます。
京都市「はあと・フレンズ・プロジェクト」
京都の障害のある方の収入増に向けた取り組み
京都市では、福祉施設で働く障害のある方の「工賃」の向上などを主な目的として、2011年から「はあと・フレンズ・プロジェクト(以下HFP)」を推進されています。
京都の就労移行支援事業所スキルアップスマイルの運営会社㈱ストーンフリーにはものづくり事業部もあってこのプロジェクトにも参加しています。
京都では就労継続支援B型事業所などを中心に数多くの福祉施設で障害のある方が手工芸品やパン・クッキーなどいわゆる「授産製品」を作っています。
ただ「工賃」として障害のある方1人に分配される月額は1~2万円にとどまっているのが実情です。
その工賃を増やすためには、生産品の質を向上させたり販路を増やしたりして売上を拡大する必要がありますが、そのためには製品の開発や生産方法、販売の仕方などの知識を高めていかなければなりません。
そこで京都市では2011年からこのHFPを通じて、毎月の定例会などをベースにしながら「企業連携」「施設連携」「市民協働」の観点から数多くの福祉施設をサポートしていて、70近い施設がプロジェクトに参加されています。
活動拠点となるセレクトショップ「はあと・フレンズ・ストア」
プロジェクト発足とほぼ同時にオープンしたのが、京都の福祉施設で作られた手工芸品やパン・クッキーなどを販売するセレクトショップである「はあと・フレンズ・ストア(以下HFS)」です。
その取扱いアイテム数は300を超え、今は四条河原町交差点から徒歩すぐの「花遊小路」に店を構えておられます。
常連のお客さまだけでなく、海外や国内からの観光客がふらりと来店され、そのうち3~4割もの方が実際にご購入いただけているそうで、並んでいる製品の品質の高さが伺えます。
またネット通販でも150前後の製品が紹介されていて、こちらも年々売上が拡大しているそうです。
「企業連携」「施設連携」「市民協働」
このHFPでは「企業連携」「施設連携」「市民協働」の3つのテーマを掲げて活動を進められています。
「企業連携」の主な取組では、京都本社の大手メーカーさんのロビーに年に2回POP UP STOREを出し、複数の施設で作られた製品を販売していただいたり、企業さまがノベルティとして使われる製品をある施設からオーダーメイドで納品していたりもします。
「施設連携」としては、お菓子作りが得意な施設とアートが得意な施設で、レシピづくりや製造とデザインを分業して製品を作って京都市動物園内のショップで販売したり、HFSの2階にあるギャラリーで、ひとつのテーマに沿って複数の施設が作った製品の合同販売会をしたりしています。
「市民協働」においては、地元美術大の学生さんに施設の障害のある方が作ったアート作品に助言や微修正を施してもらったこともあります。あるいは地域の病院やお祭りなどで販売ブースを出展したり、修学旅行生向けにワークショップを開催したりもしています。
つなぐ・つなげる・つながる
HFPでは「つなぐ・つなげる・つながる」というコンセプトを置いて、先々までも行政が旗を振るのではなく、いずれは福祉施設の方々が独力で企業や地域の方々と連携したり、自分たちで施設間連携できるようになることを目指しされています。
ですから毎月の定例会や年4回の勉強会を通じて、施設の方々にはさまざまなテーマに沿って学びを得てもらいたいと思われています。
具体的なテーマとしては「商品の価格設定の仕方」「商品パンフレットの作り方」「通販サイトの立上げ方」「売り場レイアウトの工夫」「施設ごとの成功事例の共有」などで、参加される施設にはとても好評だそうです。
実際にHFPの事業を推進されている店長と、HFS店舗スタッフのお2方からメッセージをいただきました。
HFS店長 今出さん
「プロジェクト全体の関係者をもっと増やしたくて『企業連携』には特に力を入れていきたいですね。またストアでは季節ごとに大きく商品も入れ替えていて、楽しい商品が一杯ですのでぜひご来店ください!」
HFS店舗スタッフ 喜多村さん
「お店にお越しいただければどの施設がどんな商品を作られているのがわかりますので、ぜひご来店いただいて何かのヒントを得ていただいたり、一緒に何かに取り組んだりさせていただければ嬉しいです!」
就労移行支援事業とは
「就労移行支援」とは障害者総合支援法に基づく就労支援サービスのひとつです。
一般企業などへの就職を目指す障害のある方を対象に、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートやトレーニングを実施しています。
対象となるのは障害のある18歳以上65歳未満の方で、原則最大2年間利用できて、多くの方において自己費用の負担はありません。
就労移行支援事業所では、利用者の方は事業所に通所し、サービス利用計画に基づいて障害のある方それぞれの特性や症状に応じて必要なトレーニングを受けられます。
2年以内での就職を目指し、実際に卒業して働き始めてからも最長3年半の「定着支援」を受けることも可能になります。
ごく少数ではありますが、ご利用者の中にはトレーニングを重ねても一般就労は難しい場合もあり、ご本人の意思として就労継続支援A型やB型に進まれる方もおられます。
障害によっては、クリエイティブな感性がとても豊かな特性の方もおられますし、A型やB型で就労するかどうかは別として、京都市がこのような支援をするHFSを覗かれてみて、ご自身の働き方の方向性を探ってみられてはいかがでしょうか?
私たち京都の就労移行支援事業所スキルアップスマイルでは、「事務職スキル」「コミュニケーションスキル」などの向上と、特にご利用者一人ひとりの特性や状況など応じた支援を心掛け、過去に90人を超える障害者の就労をサポートしてきています。
スキルアップスマイルの事業所は、京都の中心地である四条駅と烏丸駅に直結したビル内に構えていてとても便利ですので、ご興味のおありの方は一度見学がてらご相談にお越しいただければと思っています。
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