2023.08.04
就労移行支援は「休職」中に利用できるのか?
「アルバイトしながら就労移行支援を受けることができますか?」というご質問をよくお受けします。
自治体によって例外はありますが、基本的には働きながら就労移行支援を受けることはできません。
就労移行支援事業所は、障害が理由で退職した人や社会人経験がない方など「現在就労していない人」が、これから一般就労を目指してさまざまなトレーニングを受ける場であり、自治体はアルバイトすることが可能であれば支援を受ける必要がないと判断する可能性が高いからです。
それでは今は務めている会社を「休職」している方はどうでしょうか? この場合はハードルが自治体によってさまざまですが可能性はあります。
厚生労働省によると、休職中の方が就労移行支援の対象者になる条件として、下記3つの項目をすべてを満たす必要があるとしています。
① 休職中の方を雇用する企業、地域の就労支援機関、および医療機関が復職支援(リワーク支援)ができない場合、又は困難である場合
② 休職中の方が復職を希望し、企業および医療機関側も支援により復職が適切と判断している場合
③ 休職中の方が就労移行支援などを利用することで適切なサポートが受けられると市区町村が認めた場合
つまり雇用主である企業と主治医、そして市区町村が、休職中の方が復職を目指すためには就労移行支援事業所でトレーニングを受けることが適切であると判断した場合になります。
ただ、実際に就労移行支援事業所に通う方は、「休職」中ではなく、退職されてから利用する方も多いのが事実です。
退職してからの利用になると、もちろん気になるのは「収入」ですよね。
就労移行支援事業所を利用している方は以下のような手当などを受けていることが多いです。
① 失業保険
退職するということはそれまで会社勤めをしていたということです。企業で働いていた場合は雇用保険に加入していたはずですから「失業保険」を受給できます。ただし退職日以前の2年間で通算12か月以上の加入期間が必要です。また、会社都合の退職か自己都合退職かなどで受給条件や給付のタイミング、給付金額が変わってきますので、ハローワークに確認をしてみてください。
② 生活保護
生活が困窮した人に対して必要最低限の生活費が支給される国の公的扶助制度です。お住まいの地域の福祉事務所の相談員かケースワーカーによる自宅訪問などの調査を経て、2週間から1カ月ほどで支給が決定します。
③ 障害年金
障害の症状が重い場合は障害年金を受け取れる可能性があります。
ただし、申請には原則初診日から1年6カ月経過していることが条件となるため時間がかかるのが難点です。
会社を退職するということは大きな決断が必要です。ただ今は会社に在籍している訳で、まずは会社との話し合いこそが最優先です。
もし休職に到った理由が職場の環境面にもある場合は、仮に復職できた場合にもその職場で必要な「配慮」をしてもらえるかどうかが大きなポイントになるでしょう。
それが期待できそうになければ、退職をして就労移行支援を受けながら、自分の障がい特性などに合った新しい職場をさがすべきかもしれません。
京都の就労移行支援事業所スキルアップスマイルでは、いま在籍している会社とどんな話し合いをすればいいかなどについても助言することもできますので、まずは事業所見学なども兼ねて一度お越しいただければと思っています。
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