特集「京都で障害者が安心して働けるために - 受け入れ企業の場合」 vol.3 ―第一工業製薬さんの場合
この特集では京都企業がどのような思いで障害のある方を受け入れ、またどのような配慮を心掛けているのかをお届けしていきます。
第3回目の第一工業製薬さんは創業から116年の歴史を持ち、界面活性剤をコア技術とする化学メーカーで、国内に9拠点、海外にも多くの現地法人を持つ従業員1,100人超の上場企業です。
第一工業製薬さんでは2022年に障害者雇用を推進する「DKSチャレンジセンター」を設置し、精神障害や発達障害のある方の雇用を積極的に進められています。
今回はDKSチャレンジセンター(以下CC)のセンター長を務めておられる齊内直文さんと、共に業務されている田中伸郎さんにお話をお伺いしました。

目次
2022年に障害者雇用を推進するDKSチャレンジセンターを設置
Q.第一工業製薬さんでは障害者雇用の状況はいかがですか?
法定雇用率については達成しておりまして、20人超の障害のある社員のうち半数ほどは滋賀や三重、新潟の工場で勤務しており、半数は京都本社や京都の研究所で勤めています。
この1年ほどで新たに5人を雇用しましたが、近年は精神障害や発達障害のある方の比率が高まってきています。
Q.CCはどのような背景から設置されたのですか?
当社では2016年に、女性や障害のある方、高齢者、外国籍の方などの多様な社員の能力を最大限に引き出し、活躍できる環境を整えることを目的に、経営トップを委員長として「社員活躍推進委員会」を設置しました。
そして在宅勤務制度やフレックスタイム制度、本社のフリーアドレス化など、ダイバーシティを実現するためのさまざまな取組みを進めていく中で、2022年にそれまで人事部が担ってきた障害のある方の雇用やその定着支援業務をCCに移管したのです。
1人ひとりの特性や必要な配慮をしっかり理解する
Q.CCではどのようなことをされているのですか?
京都圏内における障害のある方の雇用を推進し、新たに入社してくださった方にはまず数か月間はCCで勤務していただくことにしています。
その目的は、面接や実習などを通じた接点だけでは、それぞれの方の障害特性やどのような配慮が必要なのか、そしてどのような職務で力を発揮できるのかなど、がなかなか掴み切れないからです。
CCで実際に業務してみることで、それぞれの方に合った職場や職務内容、周囲の社員が配慮すべきことがわかり、また障害のある方も当社での働き方を知れるため、実際の配属後にもその職場でスムーズに業務してもらえる可能性が高くなる訳です。
Q.他にはいかがですか?
せっかく入社してもらった社員に長く安心して働いてもらうために、1人ひとりの状況を把握することにとても力を入れています。京都圏内のすべての障害のある社員には、月に一度は1時間弱の面談を実施し、面談結果は職場の上長にも共有しています。
また滋賀や三重、新潟の3つの工場勤務の社員にも、3か月に1回はこちらから現地に赴いて面談をしています。
我々CCとの面談以外にも、所属部署の上長との月1回の1on1面談が障害の有無に関わらず定例化されていますので、かなり手厚い体制だと思います。
さまざまな手法で小さな変化を察知して適切な対応策を取る
Q.面談はどのような内容ですか?
仕事面や体調などの困りごとや悩みごとはもちろんのこと、休日の過ごし方などの生活面などの話も聞かせてもらったりして、小さな変化に気づけるように心がけています。
Q.面談の他はいかがですか?
障害のある社員がWebシステムを活用して自分の体調などの決められた項目を毎日チェックし、それを直属の上長や私たち、システム運営会社の方などが閲覧をして、何か変調などがあった場合にはスピーディに対応策を打つようにしています。
当社はそのシステムの活用について外部が主催する障害者雇用に関するセミナーなどで導入事例企業として当社担当がお話させていただいたこともあります。
障害のある方への理解と同時に適切な業務を分担
Q.障害のある方に関する全社的な理解はいかがですか?
数年前から障害のある社員自身からの発案で、社内SNSを活用して「チャレンジド通信」を発行しています。障害のある社員の紹介や障害者に関するさまざまな知識などが掲載されています。
こうしたものを通して少しずつ理解が深まってきていると思います。
Q.京都本社や研究所内にあるCCではどんなお仕事をされていますか?
京都本社では配属部署内で必要な軽作業やPC作業をしています。
またCCでは全社から必要業務を受託し、発送物の封入作業や過去からの大量の古い資料をデータ化するような業務などをお願いしています。
CCで業務することが本人に適していると判断すれば、ずっとCCで勤務してもらえます。
入社までもかなり丁寧なステップを踏む
Q.精神や発達障害のある方の採用基準はいかがですか?
いわゆる健康管理や日常生活管理などの「就業準備」が整っているか、きちんと出社できて安定就業できるかが前提になります。
Q.どのようなステップで採用を進めているのでしょうか?
会社に定着していただきためにもかなり丁寧なステップを組んでいます。
さまざまなルートから当社に興味を持っていただいた方にはまず会社見学をしていただき、次に1~2週間の実習に進み、最後の1~2か月の職業訓練を経てトライアル雇用で勤務いただくことになります。
Q. それでは障害のある方に向けてメッセージをお願いします。

(齊内さん)
もし当社にご興味をおもちいただければ、CCでは「安心・安全を感じられ、将来に希望を持てる業務と職場を提供できるよう努めます」という行動指針を策定していますので、ぜひ安心してお問い合わせください。

(田中さん)
CCは障害のある社員が安心して働けるようケアするため部署ですが、さらに1人ひとりが自分の持っている力を少しでも発揮できるようなサポートができる部署でありたいと思っています。
― ありがとうございました!
就労移行支援事業とは
就労移行支援とは障害者総合支援法に基づく就労支援サービスのひとつです。
一般企業などへの就職を目指す障害のある方を対象に、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートやトレーニングを実施しています。
対象となるのは障害のある18歳以上65歳未満の方で、原則最大2年間利用できて、多くの方において自己費用の負担はありません。
就労移行支援事業所では、利用者の方は事業所に通所し、サービス利用計画に基づいて障害のある方それぞれの特性や症状に応じて必要なトレーニングを受けられます。
2年以内での就職を目指し、実際に卒業して働き始めてからも最長3年半の「定着支援」を受けることも可能になります。
私たち京都の就労移行支援事業所スキルアップスマイルでは、特にご利用者一人ひとりの特性や状況など応じた支援を心掛け、過去に80人を超える障害の就労者を支援してきています。
ぜひ見学にお越しください!
スキルアップスマイルは、京都の中心地である四条烏丸の交差点角の駅直結の大きなオフィスビルの中にあります。
とても便利な場所ですのでもし当事業所に興味をお持ちいただけましたら、見学がてら足をお運びいただければ幸いです!
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