特集「京都で障害者が安心して働けるために -サポート機関の場合」vol.6/京都障害者就業・生活支援センターpart.1
京都には障害のある方をサポートする機関が数多くあります。
この特集では京都のそれぞれのサポート施設や事業所が、どのような思いでどのような支援をしているのかをお届けしていきます。
目次
就業面だけでなく生活面もサポートする
今回と次回は、労働局と京都府からの委託されて、京都市で「働くためにどうしたらよいか」「採用されても長く続けられない」「自立して生活したい」などの悩みを持つ障害のある方に対し、専門の支援員が就業面だけでなく生活面からもサポートしている京都障害者就業・生活支援センター(通称ナカポツ)さんを紹介します。
ナカポツさんでは、①働けてはいるけど困りごとを抱えている障害のある方への支援、②障害のある方の雇用に関する企業への支援、③一般の職場で働きたい障害のある方への支援、④障害のある方の一般就労をサポートする機関への支援の4つを実施されていますが、今回は①と②についてお聞きします。
お話を伺ったのは副所長の清水一史さん、支援員の西川敏之さんと丸橋凱士さんです。
働けてはいるけど困りごとを抱えている障害のある方への支援
Q.どれくらいの方が利用されているのですか?
現在の支援対象となる登録者数は1,400名ほどになりますが、相談ベースで言えば年間で7000件とかなり増えてきています。南区と伏見区を除く京都市にお住いの障害のある方が対象ですが、年齢制限はなく20~40代の方が中心になっています。
Q.在職中の方が多いそうですね?
これから就職を目指す方より、今は働けてはいるが困りごとを抱えている方の方が多いですね。主な相談内容は、仕事そのものや職場での人間関係などの悩みと、生活や健康面での悩みの2つに大別されます。
ナカポツ自体では10人の支援員がおり、併設されている京都市障害者職場定着支援等推進センターの支援員3人とも連携してさまざまな相談に対応しています。
Q.どのようにして支援が始まるのですか?
当センターのことはハローワークで紹介された方が多いですが、ネットで見つけて直接お電話をいただくことも多くあります。
仕事・職場の人間関係などに始まり生活・健康までととてもご相談の幅が広いですので、まずお電話をいただいた段階でしっかりとお困りごとを把握することを心掛けています。
そして当センターの役割を理解してもらえれば、実際に足を運んでいただいてじっくりと面談をした上でご登録に進みます。
そしてアセスメントシートに記入いただくなどしてサポートを開始していきます。
仕事そのものや職場の人間関係、生活や健康面をサポート
Q.仕事や職場の人間関係などはどう解決していかれるのですか?
人によって障害特性はさまざまですので、仕事については1人ひとりに合わせた助言をせざるを得ません。人間関係についても職場環境は千差万別ですのでその状況をしっかり伺い、どうすれば解決の糸口を見つけられるのかを一緒に考えていくイメージでしょうか。
もし勤務先が当センターでつながりのある会社であれば、ご本人さんに代わって会社に電話や訪問をして担当の方と打開策を検討することもあります。
Q.生活や健康面ではいかがですか?
健康面においては、体調管理シートを利用してもらって定期的に面談に来ていただいたり、通院に同行したり、他の支援機関を紹介したりもします。
生活面では、友人や家族との人間関係の困りごとも多いですが、最近では金銭関係のトラブルが増えています。働けているため一定の収入がありますので、アプリやSNSを利用した詐欺に引っかかってしまうケースも増加しています。またどうしても金銭遣いが荒くなってしまう方には小遣い帳アプリを使ってもらって定期的に面談することもあります。
Q.職場定着を目的としたイベントも多いですね
生活が不安定な状態では職場での孤立やトラブルにもつながるため、リフレッシュなどを主な目的として「余暇支援」にも力を入れています。
孤独解消を目的に登録者同士のつながりを維持するため、月1~2回は「交流サロン」を開いて喫茶店の一角でテーマを決めずに語り合ったりなどしていただいています。
また3カ月に1度は「定着セミナー」と称してお金やSNSの使いかたを学んでいただいたり、グループごとに粘土で作品を作ってもらって交流を深めてもらったりもしました。
さらに「お出かけ企画」も実施しており、みんなで知恵を絞ってJRで安価に琵琶湖を一周してもらったり、障害のある方は無料で利用できる京都国際マンガミュージアムなどを楽しんだり、大阪の公園まで足を伸ばしてスタンプラリーを実施したりもしています。
障害のある方の雇用に関する企業への支援
Q.企業に対するサポートの方はいかがですか?
障害のある方の雇用を増やしたいので助言が欲しいとか、障害のある社員の体調が不安定で困っているなどの相談をされることが多いですね。あるいは障害のある社員のお金遣いが荒くなっているのでサポートして欲しいという依頼などにも対応しています。
在職中の障害のある方の職場定着については、各企業の方々の受け入れ体制などがとても重要になっていますので当センターの支援員も頻繁に企業の方々と連絡を取っています。
登録者の方が勤務する会社に伺ってその働きぶりを見学させていただき、ときに私たちから働き方の助言をすることもあります。
Q.企業向けのイベントもされていますね
企業において障害のある方を雇用したりその職場定着を実現するためには、「障害」や「障害のある方」に関する理解こそが大切です。
ですからその理解促進のためのセミナーも年に2回ほど実施しています。今年の夏には発達障害をメインテーマにおいて、その基本理解や雇用の実情などをお伝えしたり、企業担当者や支援機関の方々によるグループディスカッションを行いました。
Q.副所長の清水さんから障害のある方へ一言お願いします
この特集の目的でもありますが、障害のある方の就労支援は、 本当にたくさんあってご本人さまにとっては 「どこをどう利用すればわからない」という実情があると思います。
私たち京都障害者就業・生活支援センターはそんな方々の「道先案内人」というような機関だと思っていますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思っています。
― ありがとうございました!
就労移行支援事業とは
就労移行支援とは障害者総合支援法に基づく就労支援サービスのひとつです。
一般企業などへの就職を目指す障害のある方を対象に、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートやトレーニングを実施しています。
対象となるのは障害のある18歳以上65歳未満の方で、原則最大2年間利用できて、多くの方において自己費用の負担はありません。
就労移行支援事業所では、利用者の方は事業所に通所し、サービス利用計画に基づいて障害のある方それぞれの特性や症状に応じて必要なトレーニングを受けられます。
2年以内での就職を目指し、実際に卒業して働き始めてからも最長3年半の「定着支援」を受けることも可能になります。
私たち京都の就労移行支援事業所スキルアップスマイルでは、特にご利用者一人ひとりの特性や状況など応じた支援を心掛け、過去に80人を超える障害者の就労を支援してきています。
ぜひ見学にお越しください!
スキルアップスマイルは、京都の中心地である四条烏丸の交差点角の駅直結の大きなオフィスビルの中にあります。
とても便利な場所ですのでもし当事業所に興味をお持ちいただけましたら、見学がてら足をお運びいただければ幸いです!
スキルアップスマイルがどんなところか気になる! 少し相談してみたい!という方は、まずは下記のページをクリックし、見学予約したり、資料をダウンロードしてみてください。
前の記事:
« 特集「京都で障害者が安心して働けるために - 受け入れ企業の場合」vol.2/京都電子計算株式会社さんの場合