特集「京都で障害者が安心して働けるために - 受け入れ企業の場合」vol.2/京都電子計算株式会社さんの場合
京都では障害のある方をとても丁寧に受け入れている会社が多くあります。
この特集では京都企業がどのような思いで障害のある方を受け入れ、またどうような配慮を心掛けているのかをお届けしていきます。
第2回目の京都電子計算株式会社さんは、設立時は京都新聞社の100%子会社でしたが2023年に独立した社員数300人を超える優良IT企業です。
従来より身体障害のある方を雇用しておられましたが、2年ほど前から精神や発達障害などの方の受け入れを検討し始め、今年に入ってスキルアップスマイルから石田あかりさんを総務人事課で事務職として受け入れ、半年間の定着を実現されています。
今回は、京都電子計算さんの中で障害のある方の積極的な受け入れの旗を振ってきている総務人事課の麻生さんと、当事者である石田あかりさんにお話を伺いました。
京都電子計算株式会社 管理部総務人事課 麻生啓太さん
人材紹介会社でのキャリアアドバイザー、リクルーティングアドバイザーの経験を経て2022年に京都電子計算に入社
目次
2年ほど前に障害者雇用に強い危機感を覚えた
Q.2年前から先々の障害者雇用を考えておられたとか?
はい。法定雇用率が段階的に上がっていく中で、障害者雇用に関して各社様々な取り組みをされており、当社は何も取り組みをしていなかったため、「なんとかしなといけない」と思っていました。
Q.何か強いキッカケがあったのですか?
正社員の中途採用面接にて「貴社は障害者雇用などダイバーシティについてはどのような取り組みをされていますか?」という内容の質問を求職者から受け、障害者採用に関する取り組みをほとんどしていなかったため、求職者の求められている回答ができませんでした。結果としてその求職者は選考辞退となり、入社には至りませんでした。
2年前のことですが障害者の雇用に本気で取り組まなければ会社のブランディング低下にも繋がると危機感を覚えました。
精神や発達、知的障害のある方の雇用を懸命に学んだ
Q.身体障害の方以外の受け入れの経験はあったのでしょうか?
ほぼありませんでした。一方で身体障害の方を新しく採用することはとても難しいこともわかっていました。ですから精神や発達、知的障害の方の雇用について、農園やサテライトオフィスで働いていただくことなども含め、とにかくさまざまな情報を収集しました。
そしてやはり本質的には直接雇用できるようになるべきだと考えるようになりました。
Q.スキルアップスマイルにお声掛けいただいたそうですね?
就労移行支援のことはある程度は知っていましたが、京都のある会合でスキルアップスマイルさんと出会い、丁寧にヒアリングをしてもらえていろいろと詳しく学べたのです。
そして事業所に訪問すると支援スタッフの方々もとても魅力的で安心ができました。
受け入れに際して事前に5日間の実習も導入
Q.2人目の採用では事前実習を実施されました
はい、1人目もスキルアップスマイルさんでトレーニングを積まれた男性の方を採用したのですが、ちょっとした事情で残念ながら2か月でご退職となりました。
そこで2人目の方を受け入れる際には面接だけで判断するのではなく、事前に5日間の実習をしたほうがお互いのためになるなと実施したのです。
Q.2人目の石田あかりさんはいかがでしたか?
働いた経験がなかったのは少し不安でしたが、スキルアップスマイルさんからの紹介で安心ですし、前向きに真面目に働いてくれる方だと事前実習を通じて把握できたことで、入社に至りました。
Q.受け入れに際してどんなご準備されましたか?
どんな業務をお任せするのか切り出しもしていましたし、1人目の方のときに得た気づきを踏まえて、互いが常に気楽に意思疎通できるような体制を組みました。
将来は今後入社してくる障害のある方のサポートをしたい
それでは石田あかりさんにもお話を伺います。
Q.数ある就労移行支援事業所の中からスキルアップスマイルを選ばれたのは?
企業への就職実績がしっかりしていたのと、声が外に漏れない面談室などの施設が整っていたことが大きいですね。また私は障害特性から家では集中しにくく、毎日2時間ほどの自習時間があることで各種スキルの向上が図れるのも良かったと思います。
Q.京都電子計算さんに入社を決められたのはなぜですか?
最初に麻生さんとお会いした際、選考要素の無い面談と会社見学に90分も時間を取っていただき、障害者雇用への熱意を感じたことです。「今回は管理部総務人事課としての選考だが、将来的には総務人事課以外の他部署・他部門でも障害のある方を受け入れられるようにしたい」と言われたことも力強かったですね。
Q.入社後はいかがでしたか?
始めの3カ月は業務をこなすことで精一杯でした。ただ、毎日日報を提出するのですが1日を振り返りながら「あ、こんなことできるようになってるな」「少しずつ余裕ができてるかも…」と自分を客観視できるようになっていき、最近では手ごたえも感じています。
また郵便関係の仕分けや入力、コーヒーメーカーの管理などでも、私がいないと困られる方がいるというのが張り合いになっています。
Q.受け入れの配慮はいかがですか?
とても丁寧に向き合ってもらえています。総務人事課は10人の組織ですが全員の方に私の障害について理解してもらえていますし、麻生さんの他に2人が担当として面倒をみてくださっていて相談もしやすいですね。あるときは私からの配慮のお願いについて、課長も交えてしっかり検討してもらえて嬉しかったです。
Q.将来はどうなっていきたいですか?
この会社で少しでも長く働き、まずはフルタイム勤務、次に正社員を目指しています。
今後障害のある方が入社された際は、自分が先輩となるため、その方の相談にも乗れるようになると良いなと思っています。
―石田さん、ありがとうございました。
実際の受け入れを始めてさまざまな気づきを得る
ふたたび麻生さんにお聞きします。
Q.石田さんもかなり慣れられたようですね?
そうですね。月に1度ほどは体調を崩すこともありますが、職場にも慣れ、業務スピードも少しずつ上がってきています。
Q.入社後に対応を変えられたことはありますか?
日報に書かれた要望をしっかり受け止めるようにはしていますね。例えば「輪ゴムを扱うことが苦手なのでクリップなどで代用してほしい」という要望をいただいて、すぐにクリップに変更しました。
また、私以外に教育担当を2名つけており、私に相談しにくいことは他の担当に伝えられる職場環境にしています。
Q.そのほか石田さんが6カ月定着された要因はありますか?
はい、スキルアップスマイルの担当の方と石田さん、そして私の3者面談を月1回実施できているのも大きいと思っています。当社内の事情だけでなく、他社での取り組みなども提案してもらえるので助かっていますね。
他部署でも障害のある方を受け入れられるようにしたい
Q.総務人事課では少しずつ受け入れ体制ができつつあります
課内ではこの1年で障害のある方の雇用に関する意識がかなり高まりました。また経営層も障害者雇用について関心を持っていただいており、経営層から他社の取り組み事例など定期的に情報共有いただけるようになりました。
Q.全社としての受け入れに向けてどうように進められますか?
さまざまな体制を考えていますが、まずは役員を始め、従業員が障害者雇用に関心を持っていただくことが重要だと思っています。ただ受け入れるだけでなく、社会人としての成長を支援する責任もありますので。
ダイバーシティーへの取組みに全社員が胸を張れるような会社にしたいです!
― ありがとうございました!
就労移行支援事業とは
就労移行支援とは障害者総合支援法に基づく就労支援サービスのひとつです。
一般企業などへの就職を目指す障害のある方を対象に、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートやトレーニングを実施しています。
対象となるのは障害のある18歳以上65歳未満の方で、原則最大2年間利用できて、多くの方において自己費用の負担はありません。
就労移行支援事業所では、利用者の方は事業所に通所し、サービス利用計画に基づいて障害のある方それぞれの特性や症状に応じて必要なトレーニングを受けられます。
2年以内での就職を目指し、実際に卒業して働き始めてからも最長3年半の「定着支援」を受けることも可能になります。
私たち京都の就労移行支援事業所スキルアップスマイルでは、特にご利用者一人ひとりの特性や状況など応じた支援を心掛け、過去に80人を超える障害者の就労を支援してきています。
ぜひ見学にお越しください!
スキルアップスマイルは、京都の中心地である四条烏丸の交差点角の駅直結の大きなオフィスビルの中にあります。
とても便利な場所ですのでもし当事業所に興味をお持ちいただけましたら、見学がてら足をお運びいただければ幸いです!
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