2023.11.10
フランスの障害者雇用の実情/日本の制度の違い
■障害者雇用とは?
自分に障害があることをオープンにして就職活動することをためらわれている方も多いと思います。
障害者雇用とは、企業や自治体などが「障害者雇用枠」で身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳、療育手帳などを保有している方を雇用することです。
日本では、障害のある方が安定して働き続けることを目的とした障害者雇用促進法によって、民間企業や国、地方公共団体などに対して常時雇用している労働者の一定割合にあたる人数以上の障害者を雇用することや合理的配慮を提供することなども義務付けられています。
日本だけではなく他の海外諸国も障害者雇用に取り組んでおり、今回はフランスの実情をまとめます。
■日本とフランスの障害者雇用の違い
日本では国が障害者に関する法整備や制度を決め、それに従って都道府県などの各自治体や各種の機関が障害のある方に対してさまざまな支援をしています。
また企業などには国が決めた「法定雇用率」以上の人数の障害のある方の雇用を義務付け、未達成の企業は不足分1人当たり60万円の納付金を支払う必要があります。
フランスにおいても、国が古くから従業員20人以上の企業や公的機関には障がいのある方を雇用することを義務付けています。
そして、法定雇用率は長らく6%でしたが実雇用率が3.5%にとどまっていたため、2018年に法改正が行われて企業における障害のある方の直接雇用をより強く推進しています。
現在の法定雇用率は6%ですがこの法改正によって雇用率を5年おきに見直しされることとなり、いずれは6%を超えていくことが予想されています。
そして、法定雇用率を達成できない企業は、企業規模に応じてその不足分の人数に各種係数をかけた時給の400~600倍の金額を納付する必要があります。
各地に散在しているリハビリセンターでは、障害のある方を対象にリハビリテーションや機能回復指導、職業訓練も実施されています。
10~30か月の間、1人ひとりの状況に応じて訓練が受けられ、その費用は疾病保険によって負担されています。
またフランスでは、労働組合が障害者雇用政策を決定したり検証したりする過程に関与することが法律で定められているそうです。
■日本における制度面の課題
日本においては各企業の法定雇用率が未達成の場合には、その不足分1人あたり年間60万円の納付金が課せられます。
2022年(令和4年)の民間企業全体の中で法定雇用率を達成している企業の割合は48.3%で、雇用されている総障害者数は19年連続で過去最高になっています。
一方で障害のある方を一人も雇用していない企業は32,342社あり、法定雇用率を達成できていない企業の中の50%近くを占めている状況で、障害のある方を雇用してその労務などを管理するよりも納付金の支払いを選択する企業も多いという課題があります。
また「法定雇用率さえ達成していれば」との考えで、1人ひとりの障害に対して能力を発揮しやすい就労条件や職場環境などの提供にあまり積極的でない企業も一定数あるようです。
■まとめ
日本においてはフランスとは違って労働組合が障害のある方の雇用に関する政策に関与する法律の定めはありませんが、国や都道府県、市区町村やさまざまな機関がそれぞれで役割を分担しながら就労に関するきめ細かい福祉サービスを継続してきています。
また、フランスと同様に日本の企業は、多くの企業が「障害者枠」での雇用や合理的配慮に熱心に取り組んでいます。
働く意思が強い方であれば、まずは自分に障害があることをオープンにして合理的配慮を受けながら1つの会社で勤務し続けることで、働く力を高めていくことを検討されてみてはいかがでしょうか?
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