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ASD（自閉症スペクトラム障害）のセルフチェック

2023.09.09.

　　■ASD（自閉症スペクトラム障害、以下ASD）

ASDは「対人関係や社会的なやりとりの困難さ」「こだわり行動などによる困難さ」という2つの基本特性がある発達障害で、生まれつきの脳の機能になんらかの不具合があるために起こるものと考えられています。

かつて自閉症やアスペルガー症候群などと診断名が分かれていたものが統合されたものになります。

公的な機関からは正式な統計は出ていませんが、多くの医師や医療機関、製薬会社などの発信によると、近年ASDの方はかなり増えてきているようです。

この背景にはASDいう障害の認知率が高まったこともありますが、スマホの普及でリアルなコミュニケーションが減る中、学校などでは顕在化しなかったものの就活や実際に働き始めて特性が表面化しやすくなってもいるようです。

なおASDは完全に治るということはなく、対人関係や社会性、行動の困難さに対する配慮や、本人の特性にあった環境の調整などによって、症状の改善や特性の緩和を期待することができます。

　　■ASDの困りごと

ASDの方の基本特性からは以下のような困りごとが起こりがちで、ご自身でもチェックしてみてください。

「対人関係や社会的なやりとりの困難さ」においては以下のようなものがあります。

・人と目を合わせられない

・場の雰囲気や他者の気持ちを察するのが苦手

・思ったり感じたことをそのまま伝えて相手との関係が悪くなる

・たとえ話や冗談、「あれ」「それ」などのあいまいな指示を理解しにくい

また「こだわり行動などによる困難さ」には以下のようなものがあります。

・好きなことや興味のあること以外には気が向かない

・匂いや音など特定の感覚について過敏に感じる

・自分で決めた順序や筋道にこだわる

・職場のルールの変更や急な予定の変更があると混乱する

　　■ASDとADHD（注意欠如／多動性障害、以下ADHD）の関係性

ADHDとは不注意や多動性・衝動性を主な特徴とする生まれつきの発達障害です。

ASDとADHDには同じような行動結果を生むことが多々あり、専門医が診断してもはっきり区別するのは難しく、併発しているケースも多くあります。

同じ行動結果が生じてもその原因が違う場合を場面別でいくつか見てみると以下のようになります。

話相手を怒らせてしまう場面では、ASDの方の場合では人の気持ちを汲み取るのが苦手なことが原因で不適切な発言で相手を傷つけたりしますが、ADHDでは衝動性が抑えられずに一方的に話し続けてしまうことなどが原因で相手の気分を害することがあります。

整理整頓ができない場面では、ASDの方の場合ではモノに対して強い好みを持つことが多いことが原因でモノを捨てることを極度に嫌がって散らかったままになりますが、ADHDでは注意力が散漫になることが多いことが原因で何かをやりっぱなしでほったらかしにしたり片付けられないことが多いようです。

仕事でミスをする場面では、ASDの方の場合ではあいまいな表現を理解するのが苦手なことが原因で指示を正しく理解できておらずにミスにつながりやすく、ADHDでは注意力の散漫さや集中力の低下が原因で他のことに気を取られてミスを起こしがちになります。

　　■ ASDの方の得意な業務

ASDの方によく見られる強みとしては、自分の関心が高い分野に対する集中力が挙げられます。

また特定の領域の記憶力に優れており、情報処理能力の高い方が多く見られるのも特徴です。

一方、対人関係に悩みを持つ方が多いため、不特定多数の人とあまり関わりを持たない環境での仕事も向いています。また、ルールを守って定型作業を続ける仕事も特性に合っているでしょう。

主な例としては、プログラマーやコーダー、Webデザイナー、テクニカルライター、研究職、経理事務職、工場の製品管理・ライン作業、清掃職などになります。

　　■まとめ

ASDは対人関係や社会的なやりとりの困難さとこだわり行動などによる困難さの2つの基本特性がある発達障害で、近年、特に大人の方においてかなり増えてきているようです。

就活や職場などで「もしかしたらASDなのかも…？」と感じた場合は、セルフチェックだけでなく専門機関で問診やカウンセリング、検査を受けることが大切です。

ただ、病院で診断を受けることにまだ抵抗がある方も多いことと思いますので、障害のある方を支援する機関は数多くあり、まずは相談することから始めてみられてはいかがでしょうか？

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